韓国の中堅LCCである「イースター航空」が会社更生手続きを申請しており、今後は裁判所が主導する形でスポンサー探しが始まります。
日本各地に就航していたイースター航空ですが、新型コロナウイルスの影響で一気に厳しくなり、2020年3月に同じ韓国のLCCである済州航空が買収することで合意したものの、中止となり新たな出資者探しもコロナ禍で難航し今回の更生手続きに至りました。
すでにイースター航空のホームページは閲覧できない状況になっています。
ここではイースター航空の歴史、韓国のLCC事情について解説していきます。
イースター航空の歴史と経営危機の背景
イースター航空の歴史
- 2007年10月 EASTER JET設立
- 2009年 1月 金浦ー済州間の国内線運航開始
- 2009年10月 初の国際線就航 ソウル(仁川)ーコタキナバル間
- 2017年 IATA(国際航空運送協会)加盟
- 2018年12月 韓国の航空会社で初の最新機B737-MAX8を導入(ただし相次ぐ事故により使用不能に)
- 2019年 日本行きの比率が高くボイコットジャパン運動で経営危機へ
- 2019年12月 韓国LCCの済州航空が買収を発表
- 2020年7月 コロナで回復の目途が立たず、済州航空が買収取りやめを発表
- 2020年8月 全従業員の6割に当たる700人規模のリストラを敢行
- 2021年1月 会社更生手続き申請
経営危機に陥った背景とは
当然今も続いている新型コロナウイルスが最後のとどめを刺した形にはなっているものの、コロナ以前から経営は苦しかったようです。
就航地は日本路線への就航率が非常に高く、日韓好調時には良かったが、2019年に日韓の対立で始まった韓国のボイコットジャパン運動で韓国人の利用が激減。
元々日韓路線は韓国のフルサービスキャリア、ローコストキャリアが乱立して日本各地に就航しており、激戦路線であり、低価格なうえに利用率が低迷。大韓航空やアシアナ航空のように仁川空港経由の以遠路線販売もないことから苦境に陥りました。
チェジュ航空の買収合意で救われるかと思いましたが、その直後に新型コロナウイルスで全世界の航空会社が危機に見舞われ今回の会社更生手続きに至りました。
B737-MAX8という最新機を導入したにも関わらず利用できなかったのも一つの要因です。
乱立する航空会社 韓国のLCC事情
韓国では規制緩和を進めたため、航空会社が乱立している状況です。
韓国⇒人口5,184万人/航空会社9社
アメリカ⇒人口3億3,264万人/航空会社9社
中国⇒人口13億9,402万人/航空会社6社
日本⇒人口1億2,551万人/航空会社8社
引用元:ソウル経済 저비용항공사 9곳 난립 ‘생존기로’…’10년 구조조정’ 造船을 반면교사로 (sedaily.com)
人口が5,000万の国で航空会社9社は多すぎですよね。しかもKTX(韓国高速鉄道)の発達もあり朝鮮半島部分は鉄道でかなり網羅されており、国内線需要も済州島が圧倒的多数を占めており国際線に頼らざるおえない環境です。
現在ある航空会社は以下の通り
フルサービスキャリア
- 大韓航空(1969年)
- アシアナ航空(1988年)
ローコストキャリア(LCC)
- エアソウル(2015年)
- エアプサン(2007年)
- ティーウェイ航空(2004年)
- ジンエアー(2007年)
- イースター航空(2007年)
- チェジュ航空(2005年)
- フライ江原(2016年)
そしてさらに就航予定の航空会社があるんです!
新規就航予定航空会社
- エアロK(2020年)
- エア・プレミア(2020年)
あの国の広いアメリカでも9社、人口13億の中国でも6社なのに規制緩和とはいえちょっとやりすぎです。
韓国の今後の航空会社の行方
このコロナ禍で世界の航空会社が苦戦する中、韓国の航空会社も同様に苦戦しています。その中でも驚きのニュースだったのが、韓国第1位航空会社「大韓航空」と同2位の「アシアナ航空」の合併です。
着々と進んでいるようですので、2021年内にさらなる進展があるものと思われます。
そしてそのフルサービスキャリア2社の傘下にある「ジンエアー」「エアソウル」完全子会社ではないとはいえ、アシアナ航空の株式も入っている「エアプサン」の3社の合併の話もあります。
規制緩和で競争が起こり価格が下落するのは利用者にとっては良いのかもしれませんが、行き過ぎた値下げ競争は企業の体力を奪い何もうまれません。
韓国も日本同様に高齢化社会へと向かっているようで今後は人口減になっていくようです。
このコロナで荒治療をして一気に再編していくことが良いのではないでしょうか。
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