覚えておきたい航空業界用語(燃油サーチャージ編)

海外航空券を購入する際、海外旅行ツアーに申し込む際など必ず燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が徴収されます。

この燃油サーチャージは市場の燃油価格に基づき、基本2か月に1度の割合で値上げ、値下げ、変更なし、適用がなくなるなどの価格の変動していきます。

搭乗時期、購入時期によってもかなりの差が出る場合もある燃油サーチャージ。

昔はなかったこの運賃ですが、導入の背景や値上げするのか値下げなのかの見極めなども紹介していきます。

目次

燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)とは

燃油サーチャージとはどうして存在するのでしょうか?

燃油サーチャージとは、航空機のジェット燃料の高騰し、その高騰した価格が航空会社でカバーしきれなくなり費用の一部を航空機を利用するお客様に負担してもらうために設定された価格となります。

全日空のサイトには、下記のように記載されています。

燃油特別付加運賃とは、原油価格の高騰に伴い、企業努力で吸収しきれない航空燃料費用の一部をお客様にご負担いただく追加運賃の事です。本来、航空燃料費用は航空運賃に含まれるべきものですが、航空燃料価格の不安定な変動に対応するため、またお客様にわかりやすく提示させていただくため、通常の運賃とは別に収受させていただいております。

ANA(全日本空輸)ホームページより

燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の歴史と導入の背景

ではなぜこの燃油サーチャージが登場したのでしょうか。

1990年代、石油産油国が多い中東情勢は混乱を極めていました。ざっと歴史を振り返ってみましょう。

1990年
イラク・フセイン政権のクウェート侵攻

1990年8月2日、イラクが突如クウェートへ侵攻。湾岸危機勃発

1991年
湾岸戦争へ

1991年1月17日、アメリカ中心の多国籍軍による攻撃で湾岸戦争が始まった。

まずはイラクの首都バグダッドへの空爆を開始、さらにイラク国内の施設やクウェートに展開するイラク軍地上部隊への空爆「砂の嵐作戦」を展開。

2月24日から多国籍軍による大規模地上攻勢「砂の剣作戦」が始まり、3日間でクウェートの首都を奪還。

2月28日には多国籍軍の攻撃は停止、3月3日にイラク軍が暫定休戦協定を受け入れ、国連安全保障理事会からの様々な決議をイラクが受諾して4月6日、正式に停戦となりました。

この中東の情勢不安により原油価格が高騰します。

この原油価格の高騰が航空機の燃料費にも直撃し、航空会社の負担が非常に大きくなりました。

だったら値段を上げればいいじゃないか!と思うかもしれませんが、早い段階で航空運賃というのは発表をしております。なかなか途中で値上げするという事が難しいのが現状です。

そこで航空会社はこの変動分を航空券代とは別に負担してもらおうと考え、IATAに申請、1997年に認可されました。

日本では、貨物機については2001年、旅客機については2005年に導入されました。

燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の価格の決め方とは

燃油サーチャージの金額は、原油の価格を元に算出されています。

日本ではシンガポールで取引されている「シンガポールケロシン」の価格を採用しており、ANAやJALは2か月に1度の割合で燃油サーチャージを変動させています。

シンガポールケロシンとは?

シンガポールの市場で取引されている燃油価格の事。

ケロシンとは、石油から精製される製品のうち、炭素数12~16程度の炭化水素を主体としており、ジェット燃料に使われています。

ANAやJALは、このシンガポールケロシン価格の平均から燃油サーチャージの金額を策定しています。

日系航空会社の燃油改定のタイミングは?

発券日適用額発表時期平均値算出対象期間
4月~5月2月中旬~下旬頃12月~1月の2ヵ月平均値
6月~7月4月中旬~下旬頃2月~3月の2ヵ月平均値
8月~9月6月中旬~下旬頃4月~5月の2ヵ月平均値
10月~11月8月中旬~下旬頃6月~7月の2ヵ月平均値
12月~1月10月中旬~下旬頃8月~9月の2ヵ月平均値
2月~3月12月中旬~下旬頃10月~11月の2ヵ月平均値

これは全日空の燃油サーチャージの発表のタイミングですが、だいたい発券日の1か月半ほど前に発表されます。

燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の金額は?

日本発6,000円未満6,000円以上~
7,000円未満
7,000円以上~
8,000円未満
8,000円以上~
9,000円未満
9,000円以上~
10,000円未満
韓国
ロシア(ウラジオストク)
なし200円300円500円1,000円
東アジア(韓国除く)なし500円1,500円2,500円3,500円
ベトナム・グアム
フィリピン
なし1,000円2,000円3,000円4,000円
タイ・シンガポール
マレーシア
ミャンマー・カンボジア
なし1,500円3,000円4,500円6,500円
ハワイ・インドネシア
インド
なし2,000円4,000円6,000円8,500円
北米(ハワイ除く)・欧州
中東・オセアニア
なし3,500円7,000円10,500円14,000円
シンガポールケロシン市場価格の平均に同期間の為替レートの平均を掛け合わせた価格が6,000円を下回った場合、燃油サーチャージの適用なし

6,000円未満は取られません。コロナに見舞われている2020年6月以降、ずっと燃油サーチャージの金額は0円です。要するにシンガポールケロシンが6,000円以下になっているんですね。

今海外に行くのは非常にお得になっていますが、肝心な海外旅行に行けないのが難点です。

燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)のお得になる方法はあるのか?

上記の金額は全日空(ANA)の数字を出しております。JALも同金額となります。日本に就航している外資系航空会社もほとんどがこの燃油サーチャージを導入しています。(航空運賃に込みという航空会社もございます)

近距離は大きな金額になりませんが、長距離路線になりますとシンガポールケロシンの平均額が1段階変わっただけでかなりの値上げになってしまいます。

今までの流れを見ていきますと、燃油サーチャージ適用時期の1か月半ほど前にANA、JALが燃油サーチャージを発表いたします。その金額を見てその他外資系航空会社が追随する場合が多いので、ANA、JALが値上げになれば値上げ、値下げになれば値下げというような流れが比較的多く見られます。

ただし上記の話が一概に当てはまらないこともあります。これは各航空会社により燃料の購入時期や為替レートの違いもありますので、片方の航空会社が値上げでももう一方は値上げ無しという場合もございます。同じ競合路線でも会社により燃油サーチャージの価格が違う場合もございますし、共同運航便でもA社便名利用とB社便名利用で燃油サーチャージの金額が異なる場合もございます。

お得な方法があるのかというと、原油価格の世界的な変動を見極めて、ご自身でお得な時期を見極めてその時に購入、発券するしかないという事でしょうか。燃油サーチャージは発券した日の金額が適用されます。発券すればキャンセルチャージの対象となりますので、ご自身が納得された時に予約、発券するようにしましょう。

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