大韓航空とアシアナ航空の買収ニュースの衝撃!問題点はあるのか?

韓国の大手航空会社トップ2の大韓航空とアシアナ航空が合併を検討している!という事が韓国のニュースで報道されており、日本のネットニュースや新聞にも掲載されています。

この韓国の2大エアラインがもし合併すると世界的に見ても巨大航空会社へと変貌を遂げますが、果たして実現の見込みはあるのでしょうか。

目次

アシアナ航空がこの報道に至った経緯

まずはアシアナ航空がなぜこの報道になったのか、これまでの売却に至った経緯を見ていきましょう

  • アシアナ航空を保有する韓国中堅財閥の錦湖(クムホ)アシアナグループは、財閥全体で無理なM&A(合併、買収)を繰り返し、資金繰りが悪化。2019年4月25日までに約600億ウォン(約59億円)、2019年末までに約1兆1860億ウォンの融資や社債の借り換えが必要などと資金繰りも厳しく、2019年4月15日に全株式を放出を決定し、売却を発表。
  • 11月7日に締め切った最終入札には、HDC現代産業開発と証券大手の未来アセット大宇、格安航空会社(LCC)のチェジュ航空を持つ愛敬(エギョン)グループと国内ファンドのストーンブリッジの連合、KCGIとバンカーストリートという国内ファンド連合の3陣営が入札
  • 12月末、HDC現代産業開発と未来アセット大宇のコンソーシアムが2兆ウォン(約1,800億円台)にてアシアナ航空買収を確定

ところが、2020年2月頃より新型コロナウィルスが徐々に航空業界に影響を及ぼし始めます。

  • 2020年5月、買収手続きは依然として進行中としながらも、アシアナ航空買収が無期限で延期。
  • 2020年8月、新型コロナウィルスの終息が見込めない中、HDC側が買収条件の見直しを求めており、銀行団のまとめ役となる政府系の韓国産業銀行が債務減免などを認めて、HDC側にも譲歩を求めていたが、航空業界の経営環境の変化が大きすぎるとして譲歩せず、交渉決裂。
  • 2020年9月、これを受けて韓国政府はさらなる支援をし、新たな売却先を探している。売却白紙のニュースは下記の関連記事でも詳しく説明されています。

アシアナ航空の現状はこのようになっております。少しずつ国際線も増えておりますが、コロナウィルスの影響がまだ大きく残っています。

大韓航空がアシアナ航空を買収?5つの問題点とは?

もしこれが実現すれば、双方の子会社、グループ会社含めて300機を超える巨大航空会社になりますが、正直越えなければいけないハードルがいくつかあると思います。その問題点は下記のとおりです。

1.大韓航空の厳しい経営状況

大韓航空も世界の航空会社同様にかなり経営は苦しい状況です。貨物は好調なので旅客機の座席を外して貨物機として運用したり、無給休暇などで人件費を圧縮、政府の支援などで何とか黒字を確保しているようですが、メインの旅客が世界的にこんな状況ですから、しばらくは回復も見込めません。会社的にも買収など余裕はないと思われます。

2.独占禁止法の問題

正式な見解は、韓国の公正取引委員会からは出ておりませんが、シェアの高い両社がもし合併した場合は、市場の寡占化が進むという事が問題になる可能性があります。

3.アライアンスの問題

大韓航空とアシアナ航空では異なるアライアンスに所属しています。

大韓航空=スカイチーム、アシアナ航空=スターアライアンスとなります。当然買収した側の航空会社のアライアンスになるとは思いますが、マイレージの問題も含め、たくさんの手続きが必要になるでしょう。ただし、今までも他の航空会社で合併や倒産などにより脱退はしていますので大きな問題ではないかとは思います。

4.子会社、グループ会社の問題

アシアナ航空は、子会社でエアソウル、グループ会社でエアプサンを所有しています。大韓航空もジンエアを所有しており、韓国は人口と国土のわりに、格安航空会社(LCC)の数が多すぎるので、どのように整理をしていくのかも問題です。

5.合併すれば避けられない大幅な人員整理

韓国地域、日本地域でもかなりの人員整理が行われる事でしょう。パイロット、キャビンアテンダントは機材が増える分、そこまで問題はないとは思いますが、空港スタッフも統合すればかなり整理が必要でしょう。国際路線も大韓航空とアシアナ航空はかなり路線が競合していますので、そこが一つになると現地スタッフ、空港スタッフも不要になるでしょう。

韓国内、海外地域でも合併するとなると、かなり大きな問題になることが予想されます。

合併の実現性は?

先ほど記載した『3.アライアンスの問題』、『4.子会社、グループ会社の問題』、『5.合併すれば避けられない大幅な人員整理』に関してはどうにでもなります。『2.独占禁止法の問題』に関しては、韓国でどう判断するかはわかりませんが、大きな問題だとは思います。しかし、1番の大きな問題は『1.の大韓航空の厳しい経営状況』でしょう。今は世界のどこの航空会社も大変厳しい状況下にあるので、簡単な問題ではありません。今は徐々に路線が戻ってきていますが、昨年の同時期で比較すれば10%~20%くらいの運航状況です。

飛行機は飛ばさなければ1円も生まれませんので、飛ばすことが航空会社の利益を生みます。

この状況下で買収というのは非常に困難ではないかと思っています。

韓国系航空会社は、日本のあちこちの都市に飛んでおりますし、インバウンド需要の関係もありますので、一概に日本も無関係という感じではありません。12月頃に再度何らかの動きがありそうですので、今後の動向に注目です。

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