機体の前輪が進行方向に対して直角に曲がっているというまさかの状況下にありながら、機長の冷静な判断により1人のけが人も出さずに着陸した奇跡の生還です。
事故の概要
- 航空会社 ジェットブルー航空
- 事故現場 アメリカ合衆国ロサンゼルス空港
- 機材 エアバス320-232
- 日付 2005年9月21日
- 概要 前輪が収納できず、進行方向に対し直角に横に曲がった状況での着陸
- 出発地 ボブ・ホープ空港(アメリカ合衆国ロサンゼルス)
- 目的地 ジョン・F・ケネディ国際空港(アメリカ合衆国ニューヨーク)
- 乗客数 140名
- 乗務員数 6名
- 死者数 0名
- 生存者数 146名(全員)
機体異常の発見
2005年9月21日15時17分にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス近郊にあるバーバンクの「ボブ・ホープ空港」を離陸。離陸後前輪を収納しようとしたが収納できず、近くにあったロングビーチ空港の管制塔に目視で確認してもらったところ、前輪が進行方向に対し直角に曲がってしまっていることを確認できました。
着陸する空港の選定
機長は着陸する必要があると判断し、着陸する空港の選定に入りました。
近くのロングビーチ空港ではなく、ロサンゼルス空港へ着陸すると判断しました。
判断理由としては、
- 滑走路が長い
- 消火作業をする際の地上緊急車両設備状況
- 万が一オーバーランした場合でも周りに住宅地のある空港より海岸沿いの空港の方が良い
そういった判断からロサンゼルス空港への着陸を試みました。
機内での様々な対処
- 燃料消費
-
緊急略陸後の燃料への引火を恐れ、まずは燃料を消費することを決定。A320は燃料投棄の機能は持っておらず、離陸した直後であり約3時間ほど旋回し燃料を消費させました。
- パニックになりかけた乗客への対応
-
この事件はすぐにテレビ番組に察知され、ニュースとして生中継。機内には各座席にモニターが設置されており、その液晶ディスプレイに何とそのニュースが出てしまいました。
乗客のパニックは安全な着陸に支障がきたすと判断。携帯電話の電波が通じるギリギリの高度を維持し、乗客に携帯電話の利用を許可。ジェットブルー航空では一定高度以上の携帯は禁止されていたが、機長の独断で許可。
- 乗客の移動
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前方の乗客は車輪の上という事もあり不安があるため後方へ移動させました。前輪の負担を少しでも減らすための対策にもなりました。
緊急着陸開始
旋回から約三時間後、燃料がなくなってきたため着陸態勢に入りました。
ロサンゼルス空港は緊急着陸で火災を想定し消防車などが配備され固唾をのんで見守りました。
着陸に際する懸念点は以下の通りです
- 前輪の車軸が折れないのか?折れたら胴体着陸となる危険性
- 前輪が横を向いているため、着陸後、真っすぐいかず、滑走路を外れたり、急旋回による横転の危険性
このような危険性がありました。
その緊急着陸の映像がこちら
通常後輪が滑走路に接地して、前輪が接地するまでは3秒くらいだそうですが、今回は少しでも前輪の接地を遅らせて、約12秒後でした。
タイヤが横に向いていたので、タイヤはパンクし、車軸から火花が激しく出ましたが、幸い車軸はおれず、滑走路に対し真っすぐ進んだため、無事に着陸!
滑走路は残り約300メートルほどだったようで、ギリギリの着陸でした。前輪は滑走路との摩擦により半分以上すり減っていました。
無事に着陸できた要因はこちら
今回着陸をした機長の冷静な判断が死傷者ゼロの無事な着陸を実現しました。
- 滑走路の長いロサンゼルス空港を選択したこと
- 乗客をパニックにせず、携帯電話使用を許可するなど冷静な対応
- 通常よりかなり長い、前輪を上げたまま約12秒もの間まっすぐに着陸させたこと
- 前輪部分を少しでも軽くするために乗客と手荷物を後方へ移動
まとめ
私はパイロットではありませんので、細かい技術的な事はわかりませんが、素晴らしい技術と判断が死傷者ゼロで生還が実現したのではないでしょうか。
日本のテレビでも放映されました。
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